ごあいさつ

はじめに

2010年田川地区、八女・筑後医療圏へ医師の配置、救急医療体制とへき地医療体制の充実を目的に、福岡県からの依頼で久留米大学に福岡県で初めて地域医療連携寄付講座が設置されました。
現在福岡県内の4大学の中で、久留米大学だけに寄付講座が存在していますが、あまり地域医療連携講座の存在意義は知られていません。

地域医療とは

「地域医療構想」では、各地域の人口推計を基に必要な医療機能や病床数を推定し、各医療機関の役割分担を明確化し医療機関同士の連携を促すことを目標としています。将来的に医療提供体制を改革するにあたり、偏在化対策として考えられたのが、卒業後に特定の地域や診療科で診療を行うことを条件とした選抜枠、すなわち地域枠です。

久留米大学では2010年から推薦地域枠、福岡県特別枠を設置し、現在では推薦地域枠を20名へと増員しています。
福岡県特別枠は2021年からは推薦枠に変更となりました。推薦地域枠は、年度による違いはありますが、研修終了後に久留米大学病院もしくは久留米大学医療センターにおいて4年間勤務することが義務付けられています。福岡県特別枠においては、貸与年数の1.5倍の年数を福岡県内で勤務し、診療科(現在:外科、小児科、産婦人科、救急科、麻酔科、総合診療科)の縛りが存在します。

施設体験実習

2015年より1,2年生に対し施設実習を行っており、1年生は介護老人保健施設や特別養護老人ホーム、デイケアで、2年生はホスピス、在宅医療クリニック、消防署、障碍者施設、離島、リハビリ施設などで実習を行っています。
2020年から2023年まではコロナ感染症の影響で実習を中止もしくは短縮せざるを得ませんでした。2023年から1年生に対する医学入門実習で、臨床技能訓練を行いバイタル測定や心肺蘇生などを指導し簡易OSCEを行っています。
実習先で、バイタルの測定ができる、簡単な問診ができることを目標に、単なる見学だけの実習にとどまらず積極的に参加できるように指導しています。今後、医学入門実習と共同学習で知識と技術を習得し、地域医療実習でそれを実践し、臨床現場に低学年から参加することで医療に興味を持ち勉強意欲を向上させたいと考えています。

さいごに

地域医療連携講座の使命として、1)学生教育:地域医療の必要性と重要性、2)地域の先生方への貢献、この2つが主軸と考えています。

教授 富永 正樹

教授 富永 正樹